近年、注目されている『非認知能力』は、生きる力の土台を築くために必要な力とされています。言葉は聞いたことがあっても、詳しく知らない方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、
「非認知能力って最近よく聞くけど、どんな能力のこと?」
「非認知能力が高いと何がいいの?」
このような疑問をもったことのある方のために、非認知能力について詳しくお伝えしていきます。
また、非認知能力が高い子どもに育つために必要なことについても合わせてご紹介しますので参考にしてみてくださいね。
非認知能力が高い子どもの特徴3つ
非認知能力が高い子どもの特徴として大きく3つのことが挙げられます。
コミュニケーション力が高い
物事に意欲的に取り組める
自己肯定感が高い
この3つは、どれも生きていくうえで必要不可欠な力です。
(非認知能力にはいくつかの種類があるため、そのバランスや子どもの個性によって個人差もあることをご承知おきください)
ひとつずつ見ていきましょう。
コミュニケーション力が高い
コミュニケーション力が高いと、家族や先生、友達などさまざまな人と関わることができます。その中で、価値観の違いを自然と学ぶことができ、精神的に成長しやすいといえるでしょう。
コミュニケーションを取るということは幼少期から生じます。おうちの中で家族と、保育園や幼稚園で友達や先生と。園では友達と相談したり、困ったときには先生に相談したりできることで、より充実した園生活になりそうです。
その基盤は家庭での会話。小さいうちから子どもと楽しく会話する習慣を付けたいものですね。
物事に意欲的に取り組める
保育園や幼稚園で意欲的に活動に取り組むことができると「興味の幅が広がる」「最後まで頑張れる」といった姿として見られるでしょう。
結果的に、子どもの未来が広がったり、成功に繋がったりすると考えられます。とても重要な力ですね。
自己肯定感が高い
自己肯定感とは「ありのままの自分を認める感覚」のことです。
自己肯定感が高い子どもは、積極性があり、失敗した際にも「次はどうしたらいいかな?」と考えて行動することができます。自分に対する理解もあり、人と自分を比べてネガティブになりにくいため、思いやりがある子どもになるでしょう。
非認知能力とは
そもそも、非認知能力とはいったい何でしょうか?
認知能力との違い
非認知能力を知る上で欠かせないのが「認知能力」です。
学校のテストやIQなど数字で評価される知的な能力や思考力のこと。
記憶力や言語能力、注意力、論理思考、計算能力、空間認識、知識の統合などが含まれます。
認知能力以外のさまざまな能力のこと。
感情コントロールやコミュニケーションといったものが当てはまる。
数字で測ることは難しいとされるものの、生きていく上では重要な能力といえる。
また、「認知能力」と「非認知能力」は相互に影響し合い、個人の全体的な能力やパフォーマンスに関わっています。
非認知能力の種類
非認知能力には様々な種類があります。そのうち、重要なものをピックアップしてご紹介します。
- 判断力
- 思考力
- 表現力
- 想像力
- 自己肯定感
- 忍耐力
- 自制心
- 主体性
- 探求心
- 意欲
- コミュニケーション力
- 協調性
- 共感性
非認知能力が注目されたワケ
きっかけは、1960年代にアメリカの研究者ジェームズ・ヘックマンによって行われた「ペリー就学前プロジェクト」という、幼児教育プログラムに関する研究です。
プログラムに参加した子どもたちが成人になった際に、非認知能力により学業成績や就労の面でより良い結果を得ていることが分かりました。また、犯罪率が低いことや持ち家率が高いことなども合わせて分かっています。
その後の研究によっても、非認知能力が成功に寄与することが裏付けられ、教育現場での重要性が認識されました。これにより、幼児期からの非認知能力の育成が重要視されるようになっています。
非認知能力の重要性
非認知能力を高めることは、さまざまな有益な効果をもたらすことがあります。非認知能力を高めることのメリットを4つご紹介します。
①学業成績の向上
非認知能力が高まると、学習態度や学習能力の向上に繋がります。
例えば、毅然さ、自己管理能力、集中力、目標設定能力などです。これらは、効率よく学習を進めることに必要な要素です。これらの能力が高まることで、学業成績が向上すると言えるでしょう。
②職業的成功
非認知能力は、将来社会に出た際の成功にも関わります。
コミュニケーション能力、協調性、リーダーシップ、問題解決能力、柔軟性などは、多くの職業で求められるスキルです。これらの能力を高めることで、職場でのパフォーマンスやキャリアの成長につながる可能性があります。
③社会的関係の向上
非認知能力が高まると、対人関係の向上にもつながります。
共感力、コミュニケーション能力、協力性、対人関係のスキルなどは、友人や家族、同僚との良好な関係を築く上で重要です。これらの能力を高めることで、より豊かな人間関係を築くことができるでしょう。
④ストレス管理と健康の向上
非認知能力が高まると、ストレス管理やメンタルヘルスの向上にも役立ちます。
自己認識、自己制御、ストレスへの対処能力などは、ストレスや困難な状況に対処するための重要な要素です。これらの能力を高めることで、心身の健康を維持し、ストレスに対処する力を身につけることができるでしょう。
非認知能力を高める遊び7選
非認知能力は遊びの中で獲得していくことができる能力です。ここでは、非認知能力を高めるためにおすすめな遊びを7つご紹介します。それぞれの遊びで養える力もお伝えしているので、ぜひ意識してとり入れてみてくださいね。
①積み木
積み木遊びは、家庭でも触れやすい遊びです。小さな子でも遊びやすいのがポイントですね。並べる、積む、形を作る、見立てるなど遊び方のバリエーションも多く、とても万能な玩具といえます。
1. 問題解決能力
どのように積み木を組み合わせたら安定するか、倒れないかを考え、試行錯誤する中で養われます。
2. 空間認識能力
積み木を組み立てる際に立体的な形をイメージして行く中で、空間認識能力が育ちます。
3. 創造性
自分自身でアイデアを考え、それを形にするために積み木を使うことで、子どもたちは自由な発想や創造的に作る能力を養うことができます。
4. 集中力と忍耐力
複雑な形を作るためには、試行錯誤しながら焦らずに取り組む必要があります。この過程で、子どもたちは集中力や忍耐力を高めることができます。
5. コミュニケーションと協力
友達や家族と一緒に積み木で遊ぶ中で、アイデアを共有したり、協力したりすることで、コミュニケーション能力や協力する力を養うことができます。
②ごっこ遊び
幼稚園や保育園の中で経験することが多い遊びと言えるでしょう。おままごとや戦いごっこといったものが定番ですね。私が幼稚園教諭をしていた際には、なぜかネコごっこが流行っていました(笑)
1. 共感と社会的スキル
ごっこ遊びで子どもが他の人になりきる中で、他の人の感情や視点への気づきに繋がります。その中で、他者との関係を築くためのスキルを養うことができます。
2. 協力とチームワーク
ごっこ遊びは子どもたちが役割を分担し、一緒に遊びます。これにより、協力やチームワークの重要性を学び、他の人と協力する能力が発展していくでしょう。
3. 問題解決と創造性
ごっこ遊びでは、次の設定をどうするか、足りない道具があったらどうするかといった事が起こります。それを解決するための方法を考える過程で、問題解決能力や創造性が発展します。
4. コミュニケーション能力
ごっこ遊びを通して、子どもたちがアイデアや役割を共有しながら遊ぶ中でコミュニケーション能力が向上します。
③砂・泥遊び
砂遊びや泥遊びは、感触を楽しむことや、形を作っては壊すことを何度も楽しめます。また、友達と協力して大きな作品、例えば山や川といったものを作ることも可能です。
1. 想像力と創造性
砂遊びや泥遊びは、子どもの自由な発想で形を作り出すことが可能です。楽しく遊びながら想像力や創造性が刺激されていきます。
2. 経験と探索
砂や泥の触感や性質を知ることで、子どもたちは感覚的な経験ができます。触ったり、形を作ったり、手で操作したりすることで、物質の特性を理解する力が養われます。
3. 手先の制御と細かな運動能力
砂や泥を形作る際に、子どもたちは手先の細かな制御が必要となります。砂や泥をつかんだり、形を整えたりすることで、手指の運動能力や協調性が向上します。
4. 忍耐力と集中力
砂遊びや泥遊びは、集中力を要する活動です。子どもたちは砂や泥の操作に時間をかけ、自分のアイデアや目標を追求するために忍耐力を発揮する必要があります。泥団子づくりが分かりやすい例ですね。(崩れないように、きれいな丸になるように)
5. 問題解決とコミュニケーション
砂遊びや泥遊びは、子どもたちが物質の特性に対処するための問題解決スキルを養います。また、友達とコミュニケーシを取り、協力しながら遊ぶ中で、アイデアや意見を共有しながら問題を解決することにも繋がります。
④水遊び
水遊びは子どもたちにとって楽しく刺激的な遊びです。水の冷たさや光の反射、物を浮かべるなどさまざまな気づきがあるでしょう。ただし、安全性を確保し、適切な監督や指導のもとで行うことが重要です。
水遊びに関してはこちらの記事も参考になりますよ^^
1. 探索と発見
水の中で遊ぶことで、子どもたちは水の性質や動きに気づき、新たな発見をします。水の流れや浮力などの特性を理解することで、探究心や好奇心が刺激されます。
2. 想像力
水遊びは子どもたちの想像力も刺激します。水の中で自由に遊びながら、船や水の生物、水中の冒険などを思い浮かべ、想像力を発揮することができます。
3. 手先の制御と協調性
水遊びは、手や指の細かな運動を必要とします。子どもたちは水を使って遊びながら、手先の制御を磨くことができます。また、水遊びには友人や仲間との協力が必要であり、協調性やチームワークも養われます。
4. 持続力と忍耐力
水遊びは体を使った遊びとなります。長時間水遊びを続けるためには持続力と忍耐力が必要です。子どもたちは自らの限界に挑戦しながら、忍耐力を付けることができます。
5. 自己認識とリスク管理
水遊びは子どもたちに自己認識やリスク管理の機会を提供します。水の中で自身の身体能力や制約を理解し、自己認識やリスクの認識を高めることができます。何をしたら危ないのか、経験せねば分かりません。
⑤工作
工作は子どもたちが考えて作ったり、うまくいかない時に解決策を考えたりと楽しみながら学べる遊びです。アイデアを膨らませたり、相談したり、一緒に作ったりと、非認知能力のさまざまな要素に触れられる遊びといえます。
1. 創造性と想像力
工作は子どもたちの創造性と想像力を刺激します。材料や道具を使って新しい形や構造を考え、自分自身のアイデアを形にしていく中で養われていきます。
2. 手先の制御と細かな運動能力
工作では、子どもたちの手先の制御と細かな運動能力にも繋がります。材料を切ったり組み立てたりする際には、正確さと器用さが求められます。
3. 問題解決と忍耐力
問題解決と忍耐力も必要です。子どもたちは材料や道具の制約や困難に直面し、どうしたらよいのか解決策を見つける必要があります。その過程で忍耐力が養われます。
4. 持続力と集中力
工作は、子どもたちが一つの作品に取り組み、完成まで継続することを促します。持続力と集中力を発揮することで、制作の過程や細部に注意を払うことができます。
5. 自己表現と自己認識
工作では自己表現をすることにも繋がります。自分のアイデアや感情を作品に反映させることもあるでしょう。また、自己認識を高めるために、自分の強みや興味を見つけることも可能です。
⑥公園遊び
公園遊びは、子どもたちも大好きな遊びです。公園にいる友達と関わったり、遊具を使う中で安全に遊ぶ方法を学んだりすることができます。
1. 社会的スキルと協力
公園には友達がいることが多いでしょう。その中ですぐに打ち解けて遊ぶ子や、様子を窺う子などさまざまですが、他の子どもたちとの交流を通じて、コミュニケーションスキルや共感力を養うことができます。
2. 想像力と創造性
公園にはさまざまな遊び場があります。子どもたちはその中で自由に遊び、想像力や創造性を発揮することができます。例えば、遊び場の機器を使って新しいゲームやストーリーを作り出すこともありますよ。
3. 運動能力と身体的健康
公園遊びは子どもたちの運動能力と身体的健康の促進に役立ちます。公園では走る、跳ぶ、登る、揺れるなどさまざまな動きを経験し、遊びの中でバランス感覚や筋力を養い、健康的な生活習慣を身につけることができるでしょう。
4. 問題解決と決断力
公園遊びでは、子どもたちはさまざまな状況や問題に直面します。例えば、遊具の使い方や遊びのルールを理解し、納得する必要があります。このような経験を通じて、問題解決能力や決断力を発展させることができます。
5. 忍耐力と集中力
公園遊びには、子どもたちが遊びの中で目標を達成するために必要な忍耐力と集中力が求められます。例えば、登りきる、バランスを保つ、繰り返し遊ぶなどの活動は、子どもたちが努力や集中力を養うきっかけとなるでしょう。
⑦お手伝い
お手伝いは子どもが感謝される喜びを感じたり、普段できない経験ができる場でもあります。年齢に合わせてできることをさせてあげることで、子どもたちはお手伝いを通じて成長し、生活に必要なスキルを身につけることができます。
1. 責任感と自己管理
お手伝いは子どもに責任感を持たせ、自己管理の重要性を学ばせます。与えられた仕事や責任を果たすことで、責任感を学ぶことができるでしょう。
2. 協力とチームワーク
お手伝いは家族や仲間との協力とチームワークを必要とします。子どもは他の人と協力して役割を達成する中で、コミュニケーションや協調性を養うことができます。
3. 忍耐力と集中力
お手伝いには時間や努力が必要です。子どもは役割を終えるまで忍耐力を持ち、集中力を維持する必要があります。これにより、仕事への取り組みや困難を克服する能力が高まります。
4. 問題解決と創造性
お手伝いには問題解決スキルと創造力が求められる場合もあります。子どもは効果的な解決策を見つけたり、柔軟に対応したりすることで、問題解決能力や創造性を養うことに繋がるでしょう。
5. 自己肯定感と自己価値
お手伝い活動に取り組むことで、子どもたちは自己肯定感や自己価値を高めることができます。自分が家族やコミュニティに貢献していると感じることで、自己評価や自己理解が高まるのです。
たくさん遊んで非認知能力を高めよう
非認知能力を高めることで、テストの数字では表せない生活の基盤を築くことができます。
生きる上で大切な力である非認知能力が高い子になるために必要なのは、勉強や教え込むことではありません。重要なのは大人の温かい言葉や見守り、そして遊びです。
子どもがたくさん遊べるような環境を用意してあげたいですね。